第三部:闘争
国会審議、最後の闘い。「父さん、果たしました」小林の涙、倉田市長の慟哭、そして賛成23票。地域創生リーグ推進法、ついに成立。感動の最終章と5年後を描いたエピローグ。
※この物語は政策エンタメのメソッドによって書かれたフィクションです。
最終章:国会審議
2028年10月15日午前10時、東京・国会議事堂。
衆議院総務委員会。
委員会室に、30名の国会議員が座っていた。
傍聴席には、報道陣と一般傍聴者。
議題:地域創生リーグ推進法案
委員長が、開会を宣言した。
「ただいまから、総務委員会を開会いたします」
「地域創生リーグ推進法案について、審議を行います」
高瀬麗子議員が、立ち上がった。
提案者として、法案の趣旨説明を行う。
「議長」
高瀬議員の声が、委員会室に響く。
「地域創生リーグ推進法案について、趣旨説明をさせていただきます」
高瀬議員が、資料を開いた。
「我が国では、241の自治体が、消滅の危機にあります」
「人口減少、高齢化、財政破綻」
「このまま放置すれば、地方は消滅します」
「しかし……」
高瀬議員は、委員会を見渡した。
「地方の消滅は、都市の危機でもあります」
「食料、水、自然、すべて地方から来ています」
「地方が消滅すれば、日本全体が成り立ちません」
「そこで、我々は『地域創生リーグ』という新しい仕組みを提案します」
高瀬議員が、スクリーンに図を映し出した。
地域創生リーグの概要:
- 全国1,741自治体を、5つのリーグに分類
- プラチナリーグ(20自治体)
- ゴールドリーグ(80自治体)
- シルバーリーグ(800自治体)
- ブロンズリーグ(600自治体)
- チャレンジリーグ(241自治体)
- プラチナ・ゴールドリーグが、チャレンジリーグを支援
- 1自治体あたり20億円
- 支援する自治体の住民には、マイナポイントを給付
- プラチナリーグ住民:3万円
- ゴールドリーグ住民:2万円
- 昇格・降格制度により、自治体に努力のインセンティブ
「この制度は、2026年から湊戸区、千谷田区、中区でモデル事業を実施しました」
高瀬議員が、データを示した。
「3自治体で、計36自治体を支援しました」
「成功率は、78%です」
3自治体のモデル事業結果:
湊戸区(2026年4月〜2028年3月):
- 支援自治体:12自治体
- 成功:10自治体(83%)
千谷田区(2027年4月〜2028年9月):
- 支援自治体:12自治体
- 成功:9自治体(75%)
中区(2027年4月〜2028年9月):
- 支援自治体:12自治体
- 成功:9自治体(75%)
合計:
- 支援自治体:36自治体
- 成功:28自治体(78%)
「成功した自治体では……」
高瀬議員が、続けた。
「自主財源が平均15%増加しました」
「人口減少率が、平均60%改善しました」
「住民の希望感が、80%以上に達しました」
「支援した自治体の住民満足度も、90%を超えています」
「交流イベントに参加した住民は、累計8,500名」
「『地方と繋がって、人生が豊かになった』という声が多数です」
高瀬議員は、委員会を見た。
「この法案を、ぜひ可決していただきたい」
「241の自治体を、救ってください」
「日本の未来のために」
高瀬議員は、深く頭を下げた。
拍手。
質疑応答。
質問者A(与党議員):
「高瀬議員、素晴らしい提案だと思います」
「しかし、初年度7,000億円の財政悪化は、国民に説明できますか?」
高瀬議員が、答えた。
「はい。これは『投資』です」
「10年後には、黒字に転じます」
「15年後には、累積で1兆円以上の財政改善が見込めます」
「さらに……」
高瀬議員が、続けた。
「地方が消滅すれば、もっと大きな財政負担が発生します」
「過疎地のインフラ維持費、災害対策費、移住者の社会保障費」
「これらを合計すれば、年間1兆円以上です」
「つまり、地域創生リーグに投資することで……」
「将来的には、財政負担を減らせるんです」
与党議員が、頷いた。
「分かりました。賛成します」
質問者B(野党議員):
「高瀬議員、私も基本的には賛成です」
「しかし、都市住民への負担が大きすぎませんか?」
「プラチナリーグの負担率は、8〜9%です」
「住民の理解を、本当に得られますか?」
高瀬議員が、答えた。
「はい。モデル事業では、住民の90%が継続を希望しています」
「理由は、3つです」
高瀬議員が、スライドを開いた。
住民が賛成する理由:
- マイナポイント3万円がもらえる
- 「もらえる」という積極的な便益
- プロスペクト理論
- 交流イベントで地方と繋がれる
- 「顔の見える関係」
- 同一視バイアス
- 社会貢献の実感
- 「日本を救っている」という誇り
- 社会的つながり
「つまり、住民は『税金を取られる』とは感じていません」
高瀀議員が、説明した。
「『地方を支援している』と感じています」
「これが、制度を持続可能にします」
野党議員が、頷いた。
「なるほど。理解しました」
質問者C(野党議員):
「高瀬議員、私は反対です」
会場が、ざわついた。
「なぜ、都市の税金を地方に送らなければならないのか」
維新の議員が、続けた。
「地方の衰退は、市場原理の結果です」
「自然淘汰を受け入れるべきです」
「無理に延命させても、税金の無駄遣いに終わります」
高瀬議員が、答えた。
「市場原理に任せれば、地方は消滅します」
「しかし、地方が消滅すれば……」
「誰が、食料を作るんですか?」
「誰が、水を守るんですか?」
「誰が、自然を管理するんですか?」
「地方は、日本のインフラです」
高瀬議員の声が、力強くなった。
「インフラを維持するために、税金を使うのは当然です」
「道路や橋を維持するのと、同じです」
維新の議員が、反論した。
「しかし、241の自治体すべてを救う必要はない」
「本当に必要な自治体だけを、選ぶべきです」
高瀬議員が、答えた。
「では、どの自治体を選ぶんですか?」
「誰が、その判断をするんですか?」
「選ばれなかった自治体の住民は、どうなるんですか?」
「地域創生リーグは、すべての自治体にチャンスを与えます」
「努力した自治体は、昇格できます」
「努力しない自治体は、降格します」
「これが、公平な仕組みです」
維新の議員が、黙った。
質問者D(野党議員):
「高瀬議員、私も賛成です」
「しかし、マイナポイントではなく、減税にすべきではないですか?」
「マイナポイントは、使途が限定されます」
「減税の方が、住民の自由度が高いです」
高瀬議員が、答えた。
「その指摘は、理解できます」
「しかし、行動経済学の研究によれば……」
「減税よりも、給付金の方が、心理的効果が高いんです」
高瀬議員が、スライドを開いた。
減税 vs マイナポイント:
減税(年間1.8万円):
- 賛成率:38%
- 理由:「失うはずだったお金が減る」という消極的な便益
マイナポイント(3万円):
- 賛成率:68%
- 理由:「もらえる」という積極的な便益
差:30ポイント
「つまり、マイナポイントの方が、住民の賛成を得やすいんです」
高瀬議員が、説明した。
「制度を持続可能にするためには、マイナポイントが最適です」
共産党議員が、頷いた。
「分かりました」
質疑応答が、続いた。
午前中いっぱい、様々な質問が出た。
高瀬議員は、一つ一つ丁寧に答えた。
午後2時。
参考人質疑。
小林拓也、桜井美咲、神山健二教授、結城剛、倉田誠市長が、参考人として出席した。
委員長が、発言を促した。
「それでは、参考人の方々から、ご意見をいただきます」
「まず、小林拓也さん」
小林が、立ち上がった。
マイクの前に立つ。
深呼吸。
「議長、そして委員の皆様」
小林の声が、委員会室に響く。
「私は、北海道の夕焼市出身の小林拓也と申します」
「夕焼市は、18年前に財政破綻しました」
「私の父は、夕焼市の元職員でした」
「財政破綻の責任を感じ、10年前に他界しました」
小林の目が、潤んできた。
「父は、死の間際に私に言いました」
「『拓也、この街を、頼む』」
「その言葉が、私を動かしました」
「私は、東京の企業に勤めていました」
「でも、父の遺言を果たすために、夕焼市に戻りました」
「そして、地域創生リーグという構想を考えました」
「2026年、湊戸区が夕焼市を支援してくれました」
「20億円です」
「この20億円で、夕焼市は生まれ変わりました」
小林は、スクリーンを指差した。
夕焼市の写真。
1年前と、現在。
「メロンハウスが近代化されました」
「道路が整備されました」
「若い夫婦が、戻ってきました」
「子供たちが、笑顔で遊んでいます」
「住民の85%が、『将来に希望を感じる』と答えています」
「2年前は、18%でした」
「これが、地域創生リーグの効果です」
小林は、委員会を見た。
「議員の皆様」
「どうか、この法案を可決してください」
「241の自治体を、救ってください」
「我欲を捨てて、我々欲で」
「みんなで支え合う日本を、作ってください」
小林は、深く頭を下げた。
委員会室が、静まり返った。
数秒後。
拍手。
大きな拍手が、委員会室を包んだ。
次に、倉田誠市長が、発言した。
「議長、そして委員の皆様」
倉田の声が、震えていた。
「私は、夕焼市の市長、倉田誠と申します」
「18年間……ずっと、この街を守ってきました」
「でも、どんどん衰退していきました」
「何をやっても、ダメでした」
「炭鉱が閉山し、企業が撤退し、若者が出て行きました」
「残ったのは、高齢者ばかり」
「学校は閉鎖され、商店街はシャッター通りになりました」
「私は……何度も、市長を辞めようと思いました」
倉田の涙が、こぼれた。
「でも、住民が『倉田さん、頑張って』と言ってくれました」
「だから、諦めませんでした」
「そして……」
倉田は、小林を見た。
「小林くんが、帰ってきてくれました」
「誠一さんの息子が、帰ってきてくれました」
「そして、湊戸区が、支援してくれました」
「この2年間で、夕焼市は変わりました」
「希望が、戻りました」
「子供たちが、笑顔で遊んでいます」
「若い夫婦が、Uターンしています」
「議員の皆様」
倉田は、委員会を見た。
「どうか、この街を、見捨てないでください」
「全国の241の自治体を、見捨てないでください」
倉田は、深く頭を下げた。
委員会室から、すすり泣く声。
多くの議員が、涙を流していた。
傍聴席の報道陣も、涙を拭いていた。
次に、桜井美咲が、財政シミュレーションを説明した。
神山健二教授が、行動経済学の視点を説明した。
結城剛が、経営者としての視点を説明した。
午後5時。
参考人質疑が、終わった。
委員長が、発言した。
「本日の審議は、ここまでとします」
「明日、採決を行います」
その夜。
小林、桜井、神山教授、結城、高瀬議員、氷室、大河内部長、倉田市長。
8人が、結城のオフィスに集まっていた。
「今日は……良かったな」
結城が、言った。
「倉田市長のスピーチ、最高だった」
倉田が、微笑んだ。
「いや、俺、泣いちまったから……」
「恥ずかしい……」
神山教授が、首を振った。
「いいえ。あれが良かったんです」
「人間の心を動かすのは、データだけじゃない」
「感情も必要なんです」
桜井が、資料を見た。
「明日の採決……どうなるかしら」
高瀬議員が、答えた。
「与党は、ほぼ賛成です」
「野党も、維新以外は賛成の方向です」
「可決の可能性は、高いです」
氷室が、言った。
「しかし、油断はできません」
「最後まで、何が起こるか分かりません」
大河内部長が、立ち上がった。
「みなさん、お疲れ様でした」
「明日、歴史が動きます」
「我々欲の、勝利を信じましょう」
8人が、円陣を組んだ。
「我々欲チーム、ファイト!」
結城が、叫んだ。
「ファイト!」
みんなが、声を合わせた。
翌日、10月16日午前10時。
衆議院総務委員会。
採決。
委員長が、発言した。
「これより、地域創生リーグ推進法案の採決を行います」
「賛成の方は、挙手をお願いします」
手が、次々に上がった。
与党議員。
野党議員。
委員長が、数えた。
「賛成23名、反対7名」
「よって、地域創生リーグ推進法案は、可決されました」
委員会室から、拍手。
大きな拍手が、響いた。
小林は、傍聴席で涙を流していた。
「やった……」
「本当に、やった……」
倉田市長も、涙を流していた。
「小林くん……ありがとう……」
その後、本会議でも可決。
参議院でも可決。
2028年11月1日。
地域創生リーグ推進法、成立。
首相官邸。
内閣総理大臣が、記者会見。
「本日、地域創生リーグ推進法が成立しました」
「2029年4月から、全国展開を開始します」
「241の自治体に、希望を届けます」
記者から、質問。
「総理、この法案をどう評価しますか?」
総理が、答えた。
「画期的な法案です」
「都市と地方が、支え合う」
「これこそ、日本の未来です」
「提案者の高瀬麗子議員、そして……」
総理は、カメラを見た。
「小林拓也さん、倉田誠市長、関係者の皆様に、感謝します」
「みなさんが、日本を変えました」
その夜。
ニュース番組。
アナウンサー:
「地域創生リーグ推進法が、成立しました」
「241の自治体が、来年4月から支援を受けます」
「全国で、希望が広がっています」
画面に、夕焼市の映像。
住民たちが、喜んでいる。
「やった!」
「希望が見えた!」
画面に、全国のチャレンジリーグ自治体の映像。
職員たちが、涙を流している。
「ありがとうございます……」
「これで、この街を守れる……」
小林拓也の部屋。
小林は、父の写真を見ていた。
「父さん……」
小林の涙が、止まらなかった。
「やりました」
「地域創生リーグ、成立しました」
「夕焼市を、救いました」
「241の自治体を、救います」
「父さんの遺言、果たしました」
小林は、父の写真を抱きしめた。
窓の外。
夜空。
星が、輝いている。
まるで、父が微笑んでいるかのように。
数日後。
小林は、夕焼市に帰った。
夕焼市役所。
ロビーに、エンブレムが飾ってある。
赤い炎のエンブレム。
チャレンジリーグ
「これから、ブロンズリーグを目指すぞ」
倉田市長が、職員たちに言った。
「3年以内に、昇格する」
「みんな、頑張ろう!」
職員たちが、拍手。
「おう!」
小林は、その光景を見ていた。
涙が、出そうになった。
倉田市長が、小林のところに来た。
「小林くん、本当にありがとう」
「お前が、この街を救ってくれた」
小林は、首を振った。
「いえ、みんなのおかげです」
「我々欲チームのおかげです」
倉田市長が、微笑んだ。
「そうだな。我々欲だ」
「みんなで支え合って、ここまで来た」
小林は、窓の外を見た。
夕焼市の街並み。
オレンジ色の空。
美しい夕焼け。
「この夕焼けを、守れた……」
小林は、呟いた。
そして。
2029年4月1日。
地域創生リーグ、全国展開、開始。
全国241のチャレンジリーグ自治体に、支援金が振り込まれた。
プラチナリーグとゴールドリーグの住民に、マイナポイントが配布された。
交流イベントが、全国で開催された。
日本中で、希望が生まれた。
夕焼市。
メロン畑で、農家が働いている。
笑顔。
馬道村。
温泉に、観光客が来ている。
賑わい。
大谷村。
子供たちが、学校で勉強している。
未来。
全国241の自治体で。
人々が、希望を取り戻していた。
小林拓也は、夕焼市の丘の上に立っていた。
夕焼けを見ている。
「父さん……」
小林は、空を見上げた。
「日本中に、希望が広がりました」
「我々欲が、日本を変えました」
風が、吹く。
優しい風。
「これから、もっと多くの街を救います」
小林は、呟いた。
「我々欲で」
夕焼けが、街を染めていく。
オレンジ色の光。
地域創生リーグの、闘いは続く。
しかし、希望は、確かに生まれた。
〜完〜
エピローグ
2034年4月。
地域創生リーグ、開始から5年。
全国の状況:
チャレンジリーグ241自治体のうち:
- ブロンズリーグに昇格:156自治体(65%)
- チャレンジリーグ残留:85自治体(35%)
成功率:65%
自主財源の増加:
- 平均18%増加
人口減少率の改善:
- 平均55%改善
国の財政:
- 地方交付税削減:年間4,500億円
- マイナポイント支出:年間2,000億円
- 純削減:年間2,500億円
夕焼市。
人口:6,200人(5年前より450人増加)
自主財源:15億円(5年前の1.9倍)
ブロンズリーグに昇格。
市役所のロビー。
エンブレムが、変わっていた。
銅色のエンブレム。
ブロンズリーグ
倉田市長が、職員たちに言った。
「次は、シルバーリーグだ」
「10年以内に、必ず昇格する」
職員たちが、拍手。
「おう!」
小林拓也は、東京と夕焼市を行き来していた。
地域創生リーグの推進委員として。
結城剛は、YUKI TECHの社長として、制度を支援していた。
桜井美咲は、財政コンサルタントとして、各自治体を支援していた。
神山健二教授は、大学で地域創生を教えていた。
高瀬麗子議員は、国会で制度の改善に取り組んでいた。
氷室徹は、総務省の課長として、制度を運営していた。
大河内康介は、総務省の次官として、制度を守っていた。
我々欲チームは、今も闘い続けていた。
ある日。
小林拓也は、父の墓参りに行った。
夕焼市の墓地。
墓石の前に、花を供える。
「父さん……」
小林は、微笑んだ。
「夕焼市、ブロンズリーグに昇格しました」
「人口も、少し増えました」
「希望が、戻りました」
「全国でも、156の自治体が昇格しました」
「まだまだ道のりは長いですが……」
「確実に、日本は変わっています」
小林は、空を見上げた。
青空。
「父さんの遺言、果たせました」
「我欲を捨てて、我々欲で」
「みんなで支え合う日本を、作りました」
風が、吹く。
小林は、墓石に手を置いた。
「ありがとう、父さん」
「この街を、愛してくれて」
そして。
小林は、丘の上に登った。
夕焼市を見渡す。
メロン畑が、広がっている。
子供たちが、遊んでいる。
商店街に、人が歩いている。
「この街は、生きている」
小林は、呟いた。
「我々欲で、生き返った」
夕焼けが、街を染め始めた。
オレンジ色の光。
美しい。
「この夕焼けを、ずっと守り続ける」
小林は、誓った。
地域創生リーグの物語は、続く。
日本中で、希望が生まれ続ける。
我々欲で。
〜地域創生リーグ 完〜
【あとがき】地域創生リーグの発想源
下道移動の旅
2025年5月、私は夕張市を訪れました。
下道をゆっくり走りながら、街の風景を眺めました。
最盛期に12万人いた町が、今は7,000人。
理由はわかる。でも、何ともやるせない。
この「やるせなさ」が、種になりました。
ラグビーで学んだこと
私は関西学院大学ラグビー部で、「One for All, All for One」を学びました。
一人はみんなのために、みんなは一人のために。
試合中は全力でぶつかり合う。でも、試合が終われば「ノーサイド」。敵味方はなくなり、互いの健闘を称え合う。
そして、ラグビーにはリーグ制があります。
トップリーグ、ディビジョン2、ディビジョン3…実力に応じて階級が分かれている。でも、それは切り捨てるためではありません。すべてのチームが、それぞれのリーグで全力を尽くし、互いに高め合うためです。
後輩との対話
ラグビー部の後輩と話す機会がありました。
彼は大手商社でデベロッパーをしていて、地域創生にも興味を持っていました。
「豊かな自治体が、厳しい自治体を支援する仕組みがあれば」 「ラグビーのリーグ制みたいに」
対話の中で、点と点が繋がりました。
点と点が繋がった瞬間
- 夕張で感じた「やるせなさ」
- ラグビーで学んだ「One for All, All for One」
- 後輩との対話(地域創生への関心)
- リーグ制という仕組み
これらすべてが、一本の線になりました。
「地域創生リーグ」というプロットは、無理にひねり出したものではありません。
点と点が繋がった瞬間に、自然に生まれてきたのです。
地方創生への想い
この物語で提案した「地域創生リーグ制度」は、実現可能な政策です。
豊かな自治体と厳しい自治体を階級で分けるのは、切り捨てるためではない。それぞれが全力を尽くし、互いに支え合い、全体が成長するため。
ラグビーの「ノーサイド精神」を、地方創生に応用した試みです。
この物語が、日本の地方創生について考えるきっかけになれば、幸いです。
我々欲という思想
この物語で描いた「みんなで良くなる」という思想を、私たちは「我々欲(weconomy)」という概念として言語化しました。
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THE BRIDGE株式会社について
この物語の著者は、関西学院大学ラグビー部OBとして、同期とTHE BRIDGE株式会社を設立し、「先輩から我々へ、我々から後輩へ」という理念のもと、7年間活動を続けています。
