※この物語は政策エンタメのメソッドによって書かれたフィクションです。
エピローグ:母屋にて、再び
2028年10月、あれから4年
私と森山は、再び瓜原の母屋を訪れた。
縁側に座り、酒を酌み交わす。
「先輩、あれから4年ですね。」
「ああ、早かったな。」
日本の出生率は、1.35に回復していた。
まだ目標の2.0には遠いが、確実に上昇傾向にある。
「祖父母育て支援制度」を利用する家庭は、全国で50万世帯を超えた。
地方の活性化も進んでいる。
祖母への報告
森山は、仏壇の前に座った。
「おばあちゃん、俺、やったよ。」
「日本を、少しだけ変えられた。」
「この家で育ててくれたこと、本当に感謝してる。」
森山の目には、涙が光っていた。
私の息子たち
私の息子たちも、それぞれ社会人になった。
岡山で、北海道で、それぞれの道を歩んでいる。
「お父さん、俺も将来、子どもを祖父母に預けるかも(笑)」
長男が、そう言った。
「ああ、いいぞ。お母さんも楽しみにしてる。」
新しい世代が、新しい家族のかたちを、当たり前のものとして受け入れている。
未来へ
「先輩、次は何しますか?」
森山が、笑いながら聞いてきた。
「次?まだあるのか?」
「ありますよ。日本の課題は、まだまだある。」
「地方創生、教育改革、高齢者の孤独問題——色々ある。」
「俺たち、まだまだやれますよ。」
私は、笑った。
「本当にエネルギッシュなヤツだな。」
「先輩に火をつけられたんですよ、あの夜。」
私たちは、乾杯した。
「日本の未来に、乾杯。」
秋の風が、縁側を吹き抜けていった。
中庭の鯉が、ゆっくりと泳いでいる。
母屋は、これからも、ここに立ち続ける。
新しい日本の象徴として。
【完】
『母屋の約束——少子高齢化に挑む、ふたりの男たちの物語』
solving-japan-demographic-crisis
あとがき(著者より)
この物語はフィクションです。
ただし、2024年10月に実際に交わされた対話と、そこで語られた「祖父母育て支援」という構想をもとに、未来へのビジョンを描いたものです。
登場人物の名前、所属、具体的なエピソードの一部は創作ですが、提案の内容そのものは、現実に検討する価値があると信じています。
日本の少子高齢化は、危機的状況です。
でも、私たちは信じています。
発想を変えれば、解決できる。
一人ひとりの声が、社会を変える。
この物語が、あなたの心に何かを残せたなら、幸いです。
そして、もしあなたも「日本を変えたい」と思ったなら——
ぜひ、声を上げてください。
一緒に、未来を創りましょう。
発想の源泉
この物語は、一人のラグビー部後輩との出会いから生まれました。
彼は大手商社でデベロッパーをしています。そして、地域創生にも興味を持っていました。
彼には、特別な過去がありました。
養子として、おばあちゃんに育てられたのです。
築90年の古民家で、おばあちゃんと過ごした日々。その思い出が、彼の原点でした。
そして2024年、彼はその古民家をリノベーションしました。
おばあちゃんへの恩返し。そして、その家で新しい人生を始めるために。
彼の話を聞いたとき、私の中で何かが繋がりました。
- 私の息子たちとの関係(溢れてから渡す)
- ラグビーで学んだ「One for All, All for One」
- 関西学院大学で学んだ「Mastery for Service」
- そして、後輩の「おばあちゃんに育てられた」という体験
これらすべてが、一本の線になりました。
「祖父母が孫を育てる。それを、社会制度として設計できないか?」
この物語のプロットは、無理にひねり出したものではありません。
点と点が繋がった瞬間に、自然に生まれてきたのです。
築90年の母屋が象徴するもの
築90年の古民家。
それは、時間を超えた絆の象徴です。
祖父母から親へ、親から子へ、子から孫へ。
世代を超えて受け継がれる、愛と知恵。
この物語で提案した「祖父母育て支援制度」は、その絆を、現代に蘇らせる試みです。
我々欲という思想
この物語で描いた「みんなで良くなる」という思想を、私たちは「我々欲(weconomy)」という概念として言語化しました。
自分だけでなく、関わる人々全体が豊かになることを願う欲求。
それが、我々欲です。
THE BRIDGE株式会社について
この物語の著者は、関西学院大学ラグビー部OBとして、2016年に同期たちとTHE BRIDGE株式会社を設立し、「先輩から我々へ、我々から後輩へ」という理念のもと、活動を続けています。
詳しくは:https://thebridge.co.jp/greeting/

